Session A5 : Faurecia : How to Run Leaner and Faster at Faurecia by Using a Real-Time Inventory Management Accelerator for SAP HANA

左記にも書いた通り、このフォーラムは4並列のブレークアウトセッションになっていて、全部は見られない。私たちは同僚と手分けしてセッションコンテンツを拾っているのだ。
自分が見た中で、出色だったのは、このパーツサプライヤ Faurecia社の HANAによるAcceleration実装。Suite on HANAの前にリリースされたSAP HANAの使い方、既存ERPにHANAを横付け、いわゆる side-by-side 構成にすることによって、既存のABAPコードや設定を変更することなく、トランザクションやレポートを加速化、更にZ付アドオンはHANAにアプリケーションコードを最適化させることで30倍のスピードを達成した、というもの。
この成果発表に価値があるのは、単なるPoCテストではない、というところ。自社がよく使っているトランザクションやレポートを加速させることで、在庫精度を99%にし、車両改造や個性的なインテリアで用いられるサービスパーツの在庫廃棄リスクを低減させる、という明確なビジネス目標があって、この投資をしたのだ。例示されたのはTr-code:MB51(入出庫伝票一覧)とTr-code:FAGLL03(総勘定元帳明細)。前者は一か月に4500ユーザ以上が利用し、120回もレポート作成される。同じく後者は1000ユーザ以上が使い、一か月の総待ち時間が6時間という代物。
HANAによるトランザクションとレポートの加速化実績は、MB51がDBアクセスタイムが1/4になり、トータルレスポンスタイムは1/2。また、ユーザの利用度は20%増加したという。ABAPをHANA最適化していない状態だと、演算速度そのものには効果なし、ということだ。
Faurecia社は、Z付FCS*1ABAPコードをHANAに最適化してそれも実測してみた。ABAPを最適化する前に、HANAをside-by-sideすることで、データアクセススピードは格段に向上。加えて、ABAPコードを最適化することで、トータル30倍のスピードを達成したという。

他にも、JITバッファを加速化させようとして上手くいかなかった例などを赤裸々に話してくれた。
セッションが終わった後に講演者のところへ行ってみた。そしたら、集まった人々の半数以上がSAPの同僚たち。それも判る気がする。これは実測に基づくレポートだから。
自分は「なぜ、HANAという新しいテクノロジーに飛びつくことができるのか。どうしたらEarly Adopterになれるのか。FaureciaはSAPを最優先するというポリシーがあるのか」と聞いてみた。
「新しいテクノロジーに飛びつく、というよりも、ビジネスで解決したい問題点があって、それに効果がありそうなソリューションだから採用したのだ」というしかりごもっともな回答。SAPを最優先するというポリシーに対しては、その質問が不思議そうな顔をして「ま、そうだ」くらいの反応。あまり、その点について意識したことはなさそうだった。
その割には Suite on HANA が出る前から side-by-side を実利用したりして、非常にありがたいお客様ではある。

*1:もともとCustom Developmentで開発したコードをSAPが商品化したもの。もちろん、もともとの開発発注企業は外販することを承知されている。