日経朝刊より

 東京証券取引所は来年1月から、上場企業の情報開示(ディスクロージャー)に関する規則を大幅に強化する。全上場企業の代表者に、決算内容を記載した有価証券報告書が正確であると誓約を義務付け、できない場合は上場廃止も視野に指導を強化する。重要情報の適時開示に真摯(しんし)に取り組むことも求める。米国に近い厳しいルールを採用、西武鉄道の大株主の持ち株比率過少記載などで揺らいだ市場への信認回復を狙う。

 新たな規則は16日の取締役会で正式に決める。対象は東証一部、二部、マザーズに上場する全2200社強。東証は2005年3月期分からをメドに、有価証券報告書について社長など代表者から「記載内容の適正性に関する確認書」の提出を求める。正確さを誓約できない企業には、改善報告書の提出を要求する。こうした企業は情報開示の体制整備などを東証に具体的に示さなければならない。5年間で三度の提出を求められた企業は上場廃止となる。 (07:00)

米国では2002年7月30日に「米国企業改革法(サーベンス・オクスレー法)」が成立した。その§404に従い、SEC登録会社には

  1. 財務報告プロセスに関連する内部統制システムについて報告すること
  2. 会計監査人はその経営者の報告に対して監査報告書を提出すること

が義務付けられた。
日経解説面では、

今回の東証の措置は決算短信や年次報告書といった情報開示の結果に焦点を当てている。経営の規律が保たれているのか、監査役が本当に取締役の職務を監査しているのかといった、開示に至る内部統制にまでは踏み込んでいない。米企業改革法には、「企業側のコストが重すぎる」との批判や不満が消えない。上場を維持する負担が重くなりすぎれば、東証への上場を敬遠する雰囲気も浮上しかねない。

企業の情報開示体制に対する東証の管理が強くなりすぎると、企業が萎縮して、日ごろの情報開示に消極的になりかねない。市場関係者を含めた議論も必要だろう。

と、ずいぶん後ろ向きのトーンになっている。
しかし、萎縮するような企業ならば市場から退場していただきたいというのが大方の投資家の考えなのではないか。また、企業に働く人々も、自分の会社に不正があるなんてことは考えたくもないはずだ。「うちは公明正大にビジネスを遂行している」とプライドをもって働きたいのではないか。トップマネジメントは明文化された法があろうがなかろうが、あるいは、東証やSECが監視を強めようがどうしようが、それに応える責任があると思う。
以下は、宣伝めくので、読みたい方だけどうぞ。
実はmySAP ERPでは、このサーベンス・オクスレー法に対応した内部統制管理を含むコーポレートガバナンスへのソリューションがすでに確立しており、SAP MIC内部統制管理という会計機能の一部分としてリリースされている。mySAP Business Suite(旧称mySAP.com)契約か、mySAP ERP契約を締結済みのお客様ならば、通常の保守契約内でMICを使うことが可能だ。§404対応だけでなく、§301の「匿名による内部通報制度」*1などの機能も備えている。
古澤の私見では、まだまだこれからブラッシュアップをかけていくべき機能も多いと思われるが、とりあえず、既存のR/3ユーザ企業がSEC対応をするには十分な機能を備えているようだ。
東証の今回の方針が、それに比べて甘いのは、そういった企業の情報システム基盤まで踏み込むことができないという日本の現状の裏返しのような気がしないでもない。ただ、やれといえばできる企業もあることを、東証も日経も広く知らしめるべきだろう。弱者は誰か。それは上場企業ではない。個人投資家であり、従業員であるはずだ。

*1:怖いね〜