ERPとはなんだろうか?

さて、ちょっとホッとしているのは、ERP否定あるいはERPは死んだといった論調が無かったことです。一時、そういった論がITメディアをにぎわしたことがありました。
SAPも2002年頃、「R/3 EnterpriseがR/3の最後のバージョン」と言っていたことがあります。R/3がERPの代名詞として使われることがあるために「ERPの最後のバージョン」「ERPの今後の発展はない」と、名詞が転化しつつ勝手に独り歩きしてしまった痛い思い出があります。結果的に(あるいは、そういう状況になったからSAP AGがあえてそうしたのか?真実はよくわかりませんが)、R/3 Enterpriseは「R/3の最後」となり、mySAP ERPという新しいモノに名称も中身も変わりました。
では、今現在、ERPとは何を意味するのでしょうか。
Pinaさんは

一つのアイディアとして、一つの企業を想起させるEnterpriseではなく、パートナーを含めたResource Planningをするという意味で、Collaborative Resource Planning = CRPなんて言葉はどうだろうなどと提案してみた。

と。それをarclampさんは

なるほどね。企業を超えて協業する感じがする言葉。小売業界で言えば、SCMがCPFR(Collaborative Planning Forecasting and Replenishment)になっていこうとしているのに似ているような気もする。

と受けていらっしゃる。
実は、SAP自身もERPとはなんぞやを対外的に説明するのに非常に困った時期がありました。
2003年4月にSAP AGからリリースされたスライドを見ると、こんな言葉遊びが載っています。

What is ERP today?

  • Efficiency Results & Performance
  • Extendibility Reliability and Performance
  • Enterprises Run by People

ResourceとPlanningという単語がありませんね。なるほど、ERPはPlanningの側面よりも、Executionを支えるITの意味合いが強いということなのかもしれません。
現在、SAPでは、mySAP ERPを、R/3 Enterpriseの後継として位置づけ、次のように機能を強化したものとして紹介しています。(ERPそのものの定義は出していないようです)
R/3のビジョン: 企業内プロセスの確立。リアルタイムデータ処理による効率性の追求。
mySAP ERPのビジョン:企業内外に複数のシステムが混在する環境下において、次の4方向に機能強化。

  1. Insight
  2. Adaptability
    • 企業内部と外部とにまたがるビジネスプロセスの変化に応じて最適化する。
    • コラボレーションなども機能としてここに含まれる。
  3. Flexibility
    • 柔軟性の高いテクニカルインフラストラクチャ。
    • アプリケーションを支える技術基盤の視点が強い。
  4. Productivity
    • 従業員別の役割(ロール)に基づいた直感的な使い勝手を重視。
    • すぐ使える、誰でも使えるセルフサービス機能が含まれる。

R/3のすっきりした概念、説明内容と比較すると、洗練されているとは言えません。まだまだ、過渡期なのかもしれません。