Board Member, Dr. Peter Zencke

さて、Dr.ピーター ゼンケの今年は

昨年のTechEd Las Vegasでは、完全にShaiを持ち上げる禅家、じゃなく道化の役回りになってしまったPeterだが、今年は違った。

ShaiがSAPとnon-SAPの統合とESAの適用の話をしたから、私からはSAP自身がどうやってESAを適用しようとしているかを話そう

と、落ち着いた話しぶり。R/3初期から、あるいはR/2からSAPに関わってきた「おたく」たちには安心できる「古き良き時代のSAP」が目の前に蘇ったかも知れない。

Emergency of Enterprise Service Platform

テーマは「エンタープライズサービスプラットフォームの現出」。カタカナばかりでよく解らないかもしれないが、Webサービスでは不十分である*1として、SAPが提唱しているエンタープライズサービスを実現させるための統合基盤を如何に使うか、である。

我々SAPはNetWeaverユーザである。SAPのアプリケーション開発者は皆、SAP NetWeaverの上で開発をしている。

まずは、ESAの定義を再確認しておこう。

ESA

サービス指向アーキテクチャ(SOA)の一形態であり、SAPのエンタープライズアプリケーションコンテンツをオープンな複合プラットフォームであるSAP NetWeaverにより統合することにより、SAP・パートナー・顧客の手による柔軟性の高いビジネスプロセスを実現可能にする。

ESAの利点

こういう統合基盤を1社でカバーすることに対する顧客のメリットを明らかにしておかなければならない。
SAP NetWeaverによるESAはAdaptability(適応性)とOpenness(オープン性)を重視している。したがって、ESAを採用することは他社と連係しつつ差別化を図れるということになるのだ。
もちろん、Productivity(生産性)は高く、Lower TCO(TCOの低減)にも効果がある。これはばらばらのミドルウェア群の組み合わせでは生まれない効果だ。

現在ではともすると、ビジネス変革に対する足かせとなってしまっているITに、フレキシビリティを持たせることにより、今後はユーザの生産性向上とビジネス機能の柔軟な配置(これは機能のサービス化によってもたらされる)を高め、ビジネス価値を創造していくようにしなければならない。
では、その変革のためのアーキテクチャを5つのキー要素に分解して解説していこう。

お、アイコンができたよ。これは初見だ。

まずはService Enablement

  • SAPやnon-SAPの機能をサービス化して提供するところ

一番上へ行ってPeople Productivity

  • 人の努力による統合から、自身の仕事に専念できるような環境を提供する
  • ユーザ自身が自分向けの画面を作ることのできるSAP Visual Composerは、その点において非常に有効なツール

Analytics / Reporting

  • これまでは現場のTransactional usersと、現場から距離のあるAnalytics Userに分離していた
  • 今後はEmbedded Analyticsという概念でその距離がぐっと縮まる

そしてService Composition

  • 開発者がコードを書いて一対一でつなげるProcess Integrationから、安定した統合プラットフォームの上に乗るFlexible Innovationの世界だ
  • Process Orchestrationと言い換えてもいい

忘れてはならないのがLifecycle Management

  • お互い異なった複数のシステムのメンテナンスから、共通化されたアプリケーションのライフサイクル管理の方が楽だ。Lower TCOにもつながる

このあたりの説明を丁寧に行うPeter。安心感は眠気にもつながるらしい。

Platform for Change / Business Change Management

結局、SAPは現実世界を抽象化してIT世界に焼きこむお手伝いをする会社であり、そのアプローチの方法が如何に変化しようとも、長きに渡ってお客様を支援し続けることのできる会社です。ということに尽きるのかな。
ESAによる柔軟性の向上と、複合アプリケーションという概念を、どうぞ理解してくださいということが結論であろう。

*1:Shaiの項参照