1101985159**[TechEd]Klaus Kreplinへのインタビュー(2)

競うように、ITmediaの方もインタビューを掲載しています。

ITmedia 現在、OracleによるPeopleSoftの買収など、ビジネスアプリケーション業界で動きがありますが、どのように感じているでしょう。


クレップリン アプリケーション業界は常に動いており、一連の動きはSAPのシェア拡大につながっています。また、市場では、ベストオブブリード型、つまりCRMやSCM、ERP、ポータルなどの機能を別々に導入し、その後で各アプリケーション間を統合する方法よりも、SAPが提供するようなスイート型の導入形態が増えつつあります。それもプラス要因と考えています。

SAPは単に漁夫の利を得ているだけでない、と言いたいようです。SAPは過去から一貫してBest of Breadはよくないと言い続けていましたから、その考えはたとえESAになっても変わらないということ。

ITmedia NetWeaverの出荷が好調ということですが、導入している企業はどのような目的で採用しているでしょうか。


クレップリン NetWeaverの伸びは予想以上です。導入企業の多くは、かつては業務の運用コストを引き下げることに着目していました。しかし、SAPがNetWeaverをリリースし、エンタープライズサービスアーキテクチャESA)の考え方が広まったこともあり、今では情報システムを7年、10年というように、より長期的な視点で考えるようになってきています。

確かに、今回のキーノートの主張(Back to the future)は、より長期視点に立って自社のコアコンピタンスを生かすITを考えていくようにしよう、というものでした。

ITmedia 導入企業の経営者は、情報システムにどれほど理解を示していますか。


クレップリン ビジネスを担当する人々の関心は、テクノロジーそのものではなく、業務プロセスにあります。そのため、ビジネスにおける処理を早く行うこと、業務要件の変更への柔軟な対応などを求めてきます。
 一方、ITの担当者は、こうした要求を受け止め、NetWeaverを利用することで情報システムを階層化して構築します。そして、階層化したシステムから、ビジネスに必要な機能を取り出して、新たなアプリケーションを構築する手法がコンポジット(複合)アプリケーションであるわけです。

「ビジネスを担当する人々」の責任者としてCPIO (Chief Process Innovation Officer)をCIOとは別に立てるべきだ、というのが、彼のキーノートスピーチにありました。業務のことを熟知していて、業務プロセスデザインに責任を持つ人のことです。
CPIOでも使える業務プロセスデザインツールを目指しているのが、このブログで照会したいCAFとなります。今回のTechEd Japanで、私がこのCAFのライブデモを本邦初公開しましたので、後日、本ブログ上でその再現をしてみたいと思います。

ITmedia NetWeaverの開発拠点を教えてください。


クレップリン 現在、NetWeaverの開発担当者は世界で2350人です。全社員が9500人ですので、3分の1に当たる数になります。拠点は、ドイツをはじめ、インド、イスラエルブルガリア、また、日本でもモバイル向けの技術を開発しています。

面白い質問に、面白い答です。拠点にUS (Palo Alto)が入っていないのは御愛嬌(?)として、ブルガリアがリストアップされています。CAF Summer Talkにも「ソフィア、ミンスク、そしてワルドルフ」という「大臣の弁」がでてきました。

ITmedia NetWeaverの将来の計画について。


クレップリン NetWeaverというインフラをベースに、ESAを用いて、アプリケーションへと拡張させていくことに注力します。そこでコアとなる技術の1つが、エンタープライズ・サービス・レポジトリです。エンタープライズ・サービス・レポジトリには、ビジネスビューや統合シナリオ、既に実行可能な業務プロセス、マッピング情報、ビジネスオブジェクトなどを格納します。それは、SAPが提供するものでも、顧客やパートナー企業が独自に持つものでも構いません。


 このレポジトリも含めた既存の資産から、新たにコンポジットアプリケーションを構築するのです。つまり、ここまでくると、アプリケーションとインフラテクノロジーは、結合されたものと言えるまでになってきます。「アプリストラクチャー」という造語もできるかもしれません。


 いずれの機能もモデルドリブンで稼動するため、コーディングの量が減り、より短い期間でシステムを開発することができるようになります。

このエンタープライズ・サービス・レポジトリに含まれるであろうビジネスオブジェクトは、たぶんエンティティサービスに名称変更になった、基本単位のサービスのことを指します。
アプリケーションとインフラテクノロジーは、云々の部分は、私もまだ実感を伴っていません。アプリストラクチャーという言葉についても、ピンとはきていません。「インフラテクノロジー」という言葉も、なんだかな、という感じ。