神田明神へ初詣に

今日は仕事始め。この日は毎年、少し早めにオフィスを抜けだして、近くの神田明神へ参拝することにしている。
それにしてもなぜ、神田明神なのだろう?毎年、仕事始めのビジネスマンが大挙して押し寄せる。今日も本郷通に人が溢れていた。
神田明神平将門を祀った神社である、という知識はあった。が、将門は関東を制圧して「新皇」と自称したものの、追討されたはず。ビジネスマンが年頭に当たり、営業の戦勝祈願をするには少し違和感がある。
神田明神の案内によると、御祭神は実は三柱あるとのこと。
一之宮 大己貴命(おおなむちのみこと)で、「だいこく様」のこと。縁結びの神様。
二之宮 少彦名命(すくなひこなのみこと)で、「えびす様」のこと。商売繁盛の神様。
三之宮 平将門命(たいらのまさかどのみこと)で、「まさかど様」。除災厄除の神様。
というわけで、我々は二之宮である少彦名命に祈願すべきなのだ、ということがわかった。

が、Wikipediaによると、「平将門神に祈願すると勝負に勝つといわれる。」とあり、まさかど様に祈ることも営業祈願としてはよいらしい。

井沢元彦著の「逆説の日本史」(1) (2)を読んだので私も気づいたのだが、神田明神の御祭神のうち、少なくとも一之宮と三之宮は(井沢説によると)怨霊である。大己貴命は、だいこく様、すなわち大国主命のことであり、天照大御神の孫(天孫)に自分がせっかく創り上げた国を奪われてしまった。そのために怨霊となった大国主命出雲大社他で祀り上げてあるのだ、というのが井沢説だ。

逆説の日本史1 古代黎明編(小学館文庫): 封印された[倭]の謎

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逆説の日本史2 古代怨霊編(小学館文庫): 聖徳太子の称号の謎

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怨霊を祀り上げる(=鎮魂する)ためには、非業の死を遂げた怨霊が達成できなかったことを「達成できたことにしてあげる」言霊(ことだま)力が有効なのだとか。「まさかど様は、実は最強であり、それにあやかりたいと思う人々がこんなにいるんですよ。だから怨霊として祟をなすのではなく、お気を鎮めて関東の、日本の鎮守となってくださらぬか。」ということなのかもしれない。これなら、話の筋が通る気がする。

などということを考えながら、恒例の初詣を終えた。並び始めてから参拝終了までに一時間以上かかった。とにかく大変な「人気」だ。

実は平将門については、

逆説の日本史4 中世鳴動編(小学館文庫): ケガレ思想と差別の謎

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第四章に詳しい。なぜ滅び去った後も民衆から「明神」として崇められたのか、その理由が書かれている。ご一読あれ。