Eco-Ethica

エコエティカ (講談社学術文庫)

エコエティカ (講談社学術文庫)

エコエティカ "Eco-Ethica"。今道先生が打ち立てられようとしている、新しい倫理だ。
ソクラテスから始まる「魂の世話」のための一般的条件、すなわち公共生活の四大枢要徳「正義」「賢慮」「勇気」「節制」が伝統的倫理*1。先生は、この伝統的倫理さえ今では軽視はおろか、全く無視されてしまっていることを嘆くとともに、そうなってしまった原因として、新しい倫理学を確立できていないためだと分析されていた。今こそ、新しい倫理学が必要なのだとも。
先生は現代に必要とされる倫理として、Eco-Ethicaを唱えていらっしゃる。
ここでいうEcoとは、SAPもいうEco-system、すなわちソフトウェアプロダクトを中心としたビジネス体系、あるいはお客様を中心とした相互依存関係、などという矮小な話ではない。英語のEcoに相当する単語は、ラテン語の狭義では「家」、広義では「生圏」を意味するという*2。Ecoが拡大する現代に必要な新しい徳目として、Punctuality(正確)、Machinastics(体操ではなく機操)、Philoxenia(異邦人愛、人間性、国際性)、それに安全や危機管理などを上げておられた。
難しいと思ったのは、Eco-Ethicaは「応用倫理」ではなく「基礎倫理」であるというところ。会社の服務規程などは「応用倫理」であって、倫理ではないと仰る。現代社会での自分の精神やそれに則った行動原理を深く考え確立しなければいけないということか...
伝統的倫理と新しい倫理Eco-Ethicaのお話の後で、「情報と倫理」という本題に移ったのだが、難しくてついていけなくなってしまった。改めて深くモノを考えていない自分にいやになった。

*1:ちなみに、この四大枢要徳は、高校の倫理の教科書にも出ている。二十数年前に勉強したはずなのに、全く頭から抜け落ちていた。では、なぜ教科書に載っていることを知っているのか。あまりに今道先生の講演に感動したので、設立パーティの終了後神保町の三省堂へ行き、数件出版の高等学校 倫理の教科書を購入したのだ。そこに、プラトンの魂の三分説「理性・気概(意志)・欲望」とか、「知恵・勇気・節制・正義」が四元徳と呼ばれ、ギリシア人の最も基本的な得とみなされた、ことなどが載っていた。

*2:先生はEcoをGlobalなんて小さな概念では捉えて欲しくないと仰る。Ecoを、ナノから星際空間「せいさいくうかん」のすべてという、途方もないスケールで表現された。