情報システム学とは

2/24の「情報システム学会設立のご案内」にも書いたが、慶応義塾大学名誉教授浦昭二先生のライフワークが実って学会という形になったと考えている。
ウィキペディア(Wikipedia)の「情報システム学」の項を参照していただきたい。
私は大学で浦研究室に属し、先輩諸氏から多くの指導を受けてソフトウェアの基礎理論を学ぶことができた。また、ハードウェアとしてのVT100やVT220端末*1を叩いたり、日本におけるインターネットの前身Junetのさらにルーツとなる大学間相互の定時ダイアルアップによるメールやニュースの交換、等々といった貴重な日常を経験させてもらった。今は体験しようにも、まず不可能なインターネット縄文時代である。
その頃の私は、純粋に「情報技術」が面白く、浦先生の仰る「情報システムはコンピュータシステムだけを指すのではない」とか「情報工学を扱う人間も哲学を持たなければならない」といった言葉の意味を理解することができなかった。
しかし、ここまで日常生活に情報システムが入り込んでいる現在、20年近く前に自分が理解できなかったことを肌身で感じることができる。
情報システムを扱う人間のモラルのことかもしれない。技術やソリューションを説明することだけで情報システム導入を決断いただけないことなのかもしれない。人間の生活を本当に豊かにする情報システムとは一体何かを熟慮することなのかもしれない。
考えること、考えなければいけないことは、それこそ無尽蔵にありそうだ。
情報システムに関する実務に身を寄せる一個人として、これまで関心を寄せていた「技術」側面だけでなく「倫理」という側面も一生懸命考えてみよう。

*1:OSは当然VMSだ