ソリューションマネージャがERP2004から必須に

この記事を書こうかどうか、一晩悩みました。が、悩んでも解決しないし、英語ではオフィシャルに公開されている内容だし...ということで、SAPジャパンが日本語で情報公開する前ですが、英語でのフラグメントを貼って、個人的な感想を後に述べます。

3/1公開のSAPノート

SAPのノート #805390 "SAP Solution Manager is required for mySAP ERP 2004"
現象としては「mySAP ERP2004 (ECC 5.0)のインストール/アップグレード途中で"SAP Solution Manager Key"なるものの入力を求められ、それ以上進めない」というもの。そのキーは、各ユーザサイトに設置されるSAPソリューションマネージャという管理サーバで生成される。

ソリューションマネージャってなんだ?

当該ノートにはソリューションマネージャは、「お客様にとって戦略的なアプリケーション管理プラットフォームで、お客様とSAPとのコラボレーションをとるための仕組みです。」とあります。
また、Service Marketplaceにアクセスできる方は、是非ソリューションマネージャの項を見てください。FAQが更新されていて、今回の変化が詳しく語られています。

以下、古澤の独断と偏見によるソリューションマネージャの位置づけ

R/3の時代、SAPの理想とするところはワン・データベースにヒト・モノ・カネすべてを...と解説を始めてしまうと、mySAP.com〜Business Suite〜ESAへの歴史の流れを全部話さなければいけなくなるので、ここに書くにはちょいと無茶。
ただ、SAPのソリューションだけ見ても、ERPをはじめとしてSCM/SRM/CRM/PLM etc.と多数あり、それらのソリューションなるものが多数のアプリケーションコンポーネントを要するところから考えても、サーバのインストレーションが多数必要になってきたことは否定できない。自然、アプリケーション設定や開発についても、ひとつのビジネステーマに対して複数のサーバにまたがる作業が必要となるし、本番稼動後のシステム運用でもサーバ数の増加は確実にTCO増につながる。
こういう悩みに対して、対処療法的ではあるが、一石を投じるのがSAPソリューションマネージャであると言える。すなわち「開発時にはサーバをまたいだ設定や開発をテーマごとにまとめて管理し、一括で移送できる」とか、「運用時にソリューションマネージャを覗いていれば各サーバから集まってきているCCMSの情報を見ることができる」とか、極めてベーシックな機能から、ビジネスプロセスモニタリングやサービスレベル管理の機能まである(らしい。詳しくは良く知らない。勉強不足)。
ソリューションマネージャが近い将来必須になるだろうなという予感はしていた。US TechEdのBPM251: BPM in Practice - Modeling Business Processesでも、BPMの設計・実装におけるARIS, Solution Manager, XIの役割分担が示されていたように、システムランドスケープ全体を管理し、ビジネスプロセス設計そのものを実装する先として、Solution Managerがもっとも相応しいと思われたからだ。

しかし、今、ERP2004でもSolution Managerが必須となった理由は

正直なところ、まだ理解できていない。ただ、mySAP ERPというものが、昔で言うところのR/3, BW, ポータルの3サーバのコンビネーションなんだよ、という見解も一理あり。

で、実際のところ、どの程度のサーバハードウェアが必要なんだ

そもそも、Solution Managerは単独でインストールしなければならないものか?どのくらいのコスト増になるんだ?という疑問に対して、SAPでは次のような回答を用意している。(上述、Service MarketplaceのFAQから古澤が抜粋して訳。正確性は保証できず)

5. SAPソリューションマネージャのコストは?

次のものはソフトウェア保守に含まれている:

  • SAPソリューションマネージャのソフトウェア
  • SAPソリューションマネージャのライセンス
  • MaxDB(以前、SAP DBと呼ばれていたもの)のライセンス。顧客が他のDBMSを選択した場合には、そのライセンスコストはDBMSベンダとの契約に依存する。

次のものは追加が必要:

  • サーバハードウェア - SAPソリューションマネージャをスタンドアロンでかつ、専用のサーバとしてインストールすることを、SAPは強く推奨する。サンプルハードウェアサイジングは以下のとおり(日本語システムでも同じかどうかは未確認):
    • 1CPU (1GHz以上)、1GBメモリ、50GB HD領域。(基本利用。5人以下のパワーユーザ。10以下の接続システム)
    • 2CPU (1GHz以上)、2GBメモリ、50GB HD領域。(それ以上の利用。10人以下のパワーユーザ、50以下の接続システム)
    • これ以上は、QuickSizerでサイジングを。

.............(後略).............

まだコストに関する言及がある。必ず原典をチェックのこと!
サーバそのものは、PCレベル。PAM*1で確認すると、Windows2000/2003 Server-MaxDBやLinux-MaxDBの組み合わせだってOKだ。サーバのコストはそれほど高くない。インストーラもキット化されていて、スタンドアロンで入れる分にはお手軽だろう。
むしろ、このサーバをどうやって使うと効果がでるのか、といった、運用スタッフへのトレーニングがコスト増になるのではないかな....ただ、複雑な複数サーバに対する運用コストを削減する効果はあるはず。それをどうやってお客様に示すのかが問題。

*1:Product Availability Matrix